活動

第137回学習会(平成30年5月17日)

地区防災計画策定に向けた城東校の状況
話題提供:竹内 裕希子 氏(熊本大学院先端科研究部准教授 )

 

今回の学習会は地区防災計画について熊本大学大学院先端科学研究部准教授の竹内裕希子氏に話題提供していただいた。氏は地理学の研究者。熊本地震の時にはお産のために熊本を離れておられたが、今日はそのときに生まれた2歳の息子さんも応援参加(学生の子守付)。

1.地区防災計画について
2011 年東日本大震災の教訓から生まれた制度。従来からあった国の防災基本計画(災害対策基本法)、都道府県および市町村の防災計画(地域防災計画)に加えて地区住民の自発的な防災活動について「地区防災計画」を定めることになった。小学校区内の住民(商店街や事業者を含む)自らが策定し、内容も自主性を尊重。安堵地区(岩手県)のようにチラシ1枚の計画書(命を守る 15 分のルール)でもよい。内閣府は平成 26~28 年に有識者懇談会でモデル地区の防災計画を立案しHPで公開している。熊本市向山校区もモデル地区に入っている。
2.現在策定中の「城東校区」の場合
どんどやや夏祭りなどのコミュニティ活動に実績があり各種団体で構成される自治協議会が策定主体となった。宿泊施設・商業施設・商店街・行政(市役所)を対象にアンケート調査を行い、災害時の避難誘導と情報収集に関して自主防災クラブへの期待が大きいことがわかった。
平常時における住民の協力関係を作っておくことが大切である一方、買い物客等災害を想定していない不特定多数の方をどう誘導するかが課題。※「今回何とかできた(偶然)」から「次回も確実にできるように(必然)」にするための「計画」である。大変だったが何とか対応できたので次も大丈夫・・・というのはダメ。
3.質疑・意見交換
Q.個別の事業所はBCP(事業継続計画)を策定したりしているが地区全体としては対応へのハードルが高い。これを引き上げる方途は?
A.★「ついで防災」でハードルを低くする。まちづくり+防災、子育て+防災、交通安全+防災、福祉+防災、祭り+防災・・・等。
Q.被災地交流している女川市での経験・・・?
A.南阿蘇で地震前と後でのアンケート比較。「これからも済み続けたい」の回答者が減ったのにショック。地域のマイナス面だけ強調すると人が減る。防災教育より地域教育が大事だと思った。
Q.石巻・大川小学校のように避難誘導の責任が問われる?
A.地区防災計画で全部やるのは無理。できること、例えば地区の避難所のポスターをレストランのトイレに貼っておく、から。
●ワンコイン懇親会 ・・・ お料理も充実し参加者も多くなった。

文責:冨士川一裕(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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