活動

第123回学習会(平成29年03月23日)

「熊本市中心市街地の復興創造グランドデザイン」を考える
話題提供:両角 光男 氏(まちなか工房シニア)

 

 今回の学習会はまちなか工房シニアの両角光男先生にご登壇いただき、『「熊本市中心市街地の復興創造グランドデザイン」を考える』と題して、中心市街地活性化協議会で議論されている熊本地震からの創造的復興の牽引車である中心市街地のグランドデザイン(30年後のあるべき姿)の検討状況を解説していただきました。

1.グランドデザインの背景
 熊本市やその周辺地域でも、人口減少、とりわけ40代までの各世代の人口減少が深刻化し、人材不足や経済の縮小が進むと心配されています。震災の教訓を踏まえて安全安心な街をつくるのはもとよりですが、いかにして交流人口の増加や定住人口の定着を図るかが課題となっています。 「まちなか工房」のメンバーも一連の作業に参加し、5つの目標と15の施策、さらには地区毎の 整備方針と戦略プロジェクト(いずれも素案)などを中間報告としてまとめられていました。

2.グランドデザインの内容
 5つの目標は「九州の国際交流ハブ」「物語豊かな滞在型都市観光」「未来標準の都市空間」「ミクストユースの活力」「人財やビジネスの熟成工房」としています。広く九州を視野に置いた熊本の立地特性を活かしたもの、熊本城を中心とした色濃く残る歴史性を活かしたものが挙げられ、また、30年後の社会状況の変化も考慮した、建物更新による新しい都市暮らし像の標ぼう、お年寄りから若者までが暮らす状況を生み出す仕組みも考えられていました。30年後のターゲット世代としては、80年以降に生まれた“ミレニアル世代”であり、所有よりもシェアをしながら身軽に生きていく世代をどれだけ取り込めるか、という点を重要視されていました。今回のグランドデザインの特徴でもある、ビジネスを生み出す方策にも言及されており、観光や熊本ならではの起業も促すようなまちづくりを検討しているようです。

3.会場との質疑応答
 エリア設定に対して、まちなかエリアは中心市街地にとどまらず、本荘、九品寺、坪井なども意識としてはまちなかであり、それらのエリアに対する言及があってもいいのではないかという意見が出されていました。また、白川を渡る人道橋を構想し、新屋敷とのつながりを検討してはどうかという意見もありました。いずれも市街地から白川を超えたエリアとのつながりを考えることで、大きな人の流れを生み出すことにつながるように思います。若い人が働くことは重要ということで、ミレニアル世代の生き方をもっと想定しても良いのでは、という意見もありました。

文責:増山 晃太(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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