2月の第113回学習会は、熊本大学 原田信志学長に『我が故郷上通』と題して、氏が熊本大学医学部卒業後留学に発たれるまでの30年間、生まれ育たれた街、そして2年前に再び住むことになられた上通について、その思いを語っていただいた。
現在も上通並木坂にある原田写真場で1950 年に生まれ、兄姉とともにここで育った。現在、写真場は兄が会長、その子息が社長を務める。2年ほど前、泉洋服店の跡に建ったマンションを即決で購入し、週末はそこで過ごす。越してきて一番印象的なのは上乃裏の変わりぶり。大変気に入っている。
昭和44 年に熊本大学医学部に入学したが、それ以前の信愛幼稚園・碩台小学校・竜南中学・熊本高校時代も生まれ育った上林町(碩台校区13 町内)とともに懐かしい思い出でいっぱいだ。父親と一緒に映画館で見た洋画、写真所にあったダルマストーブ、おもちゃのピストルの火薬のにおい、ボシタ祭の子ども神輿、近くに今もある近藤文具店や園田屋さん、こむらさきラーメン。
昭和56年から59 年米国ネブラスカ州オマハへ留学、帰国後山口大学、京都大学に勤務した後、平成元年に熊本大学医学部教授に就任した。
留学した米国で訪れた、ボストン、アスペン、シカゴ、ニューオリンズ等の諸都市、帰国後、学会などで訪れたゲッチンゲン、ハイデルベルグ、フィレンツェなどのヨーロッパの諸都市、再訪した米国のシアトルやサンタフェ、あるいはアフリカやアジアの諸都市を見るにつけ、コンセプトがはっきりしている都市は魅力的であり、衛生的であることは都市の備えるべき必要不可欠のことだと思う。
熊本がどんな街であったらよいか、その理想像を問われれば次のように答えたい。①simple is best。コンセプトを明快にしたい。商都か政都かあるいは学都なのかはっきりしたい。②色調が揃い、看板が目出たず清潔。③川・海・山など自然と調和した街。③歴史を感じさせる街。・・・・熊本が城下町であることは大きな利点。お城と調和した街づくりを進めたい。本音を言えば熊大と調和した街でありたい。上通はかつて五高と関係の深い街だった。五高生のいたずらには街の人も大目に見てくれた。書店、古書店、喫茶店も多く学生との接点が多くあった。
文責:冨士川一裕(工房研究員)
【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)