1月の第112回学習会は熊本高等専門学校特命客員教授 磯田節子先生に『社会を教室とする学び』と題して熊本高専八代・建築社会デザイン工学科の取り組みについて話題提供いただいた。
子育てをしながらで大変だったが熊本大学で取得した学位論文は『熊本城天守閣の可視領域』というテーマで、街の中でお城が見えるのはどこ?を計算で解くというものだった。
その後、東京都世田谷区で「ワークショップ手法による参加のまちづくり」と出会い、高専赴任に当たっては「八代のAdvocate Center(N.Y.)を目指してほしい」という言葉で背中を押していただいた。
その実践の場となった熊本高専八代キャンパスで学生たちと一緒に取り組んだ諸プロジェクトを紹介します。
それらの活動に共通するPBL(Problem and Project Based Learning )
という実践型教育手法は、デンマークのオルボー大学で学ぶことによって地域と連携した教育活動がさらに深まった。2015 年全国の高専建築系学生が八代に集い開催されたデザインコンペティション(「ロボコン」ならぬ「デザコン」)では、「オレンジ鉄道の車内と各駅で展開するマルシェのしくみ」を提案した熊本高専八代の案がみごとグランプリを獲得した。
最後に八代・宮路地区の「紙すきの里」について紹介します。和紙が世界に類のない文化遺産でありその系譜の一つが宮地に伝わっていたことは驚きだった。水無川の支流である水路沿いに多いときには百数十件の職家(しょくや:紙すき職人の家)が軒を連ねていたが、今は宮田さん一軒となり、それも風前の灯である。宮地という歴史のパワーポイントで見ることのできる美しい景観とともにある紙すきの伝統を絶やしてはいけない!
会場からはコーポラティブハウスについての質問や八代市と高専の関係などについて意見交換させていただいた。ありがとうございました。
文責:冨士川一裕(工房研究員)
【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)