活動

第88回学習会(平成25年7月25日)

7月12日を振り返って ~平成24年九州北部豪雨の被害とその影響~

「ハザードマップは自分の頭の中と経験に書き込め!!」

 

「これまでに経験したことのない大雨」との警告を初めて耳にした九州北部豪雨から1年が経った。7月のまちづくり学習会は、九州北部豪雨を振り返り、事後に現場での調査を行った2人の熊大教員が研究成果を発表した。まず熊本大学附属減災型社会システム実践研教育センター長山田文彦教授から、大きな被害の要因となった自然現象の特徴について、次いで熊本大学自然科学研究科柿本竜治教授から、被害を受けた住民の避難行動について発表があった。
 阿蘇カルデラに降った雨は、立野で白川と黒川が合流し、ほぼ3時間で熊本市内に到達する。さらに、白川は立野から急に下る地形となっており、下流で急激な水位の上昇が起こる。白川水系流域の図を目の当たりにすると、氾濫の危険性の高さが実感できた。今回の氾濫が、結果的にほぼハザードマップに示された通りに起こったという話は興味深く、氾濫予測の正確さに安心したものの、山田教授が指摘したとおり、降雨後のいつの時点でその状況になるのかという情報が示されなければ、住民の避難行動にはつながらないと思った。実際、熊本市内では、ハザードマップが配布されていたにも関わらず、洪水の中で取り残された住民が出た。柿本教授の行った、被害を受けた龍田地区周辺住民の避難行動への聞き取り調査によると、避難を決めた人は、河川の状況を自分で見たという人が多く(危険な行為なのでやってはいけない!)、テレビやラジオで気象情報を収集していた人は、報道されている他地域の情報に気をとられている間に逃げ遅れてしまったという。
 地球温暖化により今後河川の氾濫が起こる危険性は、熊本で5~10倍にもなるという。豪雨の時は河川の情報を地域の人とリアルタイムで共有し、一人だけ取り残されることがないよう、普段から隣近所との付き合いを大切にすべきだ。教訓を生かし、平時の避難訓練をしっかりしなければならない。
避難勧告や指示が空振りに終わっても「今回は被害がなくてよかった」と予防的避難を呼びかけた行政の勇気をたたえる人、我が家の防災グッズの点検を怠らない人、そんな地域住民にワタシはなりたい、思った。

文責:前田(工房研究員20130726)

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