活動

第87回学習会(平成25年6月18日)

よく分かる熊本のまちづくり:熊本大学 位寄和久,溝上章志,星野裕司,田中昭雄

「専門的・学術的だから役に立つ、と言われるために」

 

 6月のまちづくり学習会は、「よく分かる熊本のまちづくり」をテーマに、まちなか工房所属の4人の先生が研究成果を発表した。すきたい熊本協議会、 (株)まちづくり熊本のご支援を得て、拡大版学習会とし、百人の参加があった。(場所:安政町 日専連ホール)
 発表は、①集約型都市構想計画に基づく熊本市都市マスタープランの検討/発表者:位寄和久教授、②中心市街地における回遊行動の分析と回遊促進策/ 溝上章志教授、③歩道のリニューアル計画-地元商店街とのコラボ-/星野裕司准教授、④熊本市中心地区省エネルギー化の経済効果と可能性/田中昭雄教授の4題。 その後、田中教授、星野准教授、松永和典氏(すきたい熊本協議会)、田中隆臣氏(熊本市都心活性推進課長)をパネラーに「まちなか工房に期待するこれからのまちなかの分析とデザイン」 をテーマにパネルディカッションを行った。コーディネーターは、冨士川一裕・まちなか工房特定事業研究員。
 熊本市内でも、いろんな施設が近くにあって生活利便性の高いところとそうでないところがある。中心商店街という限られたエリアの中でも、人がよく通るところとそうでもないところがある。 そうした格差は、個々人が感覚的に分かっているものだが、それを数値に置き換えたり、ランキングして地図上で分かりやすく表示してくれると、みんなで共通認識を持つことができる。 そうして現状分析ができれば、同じ計算式や地図表示の方法を用いて、将来道路や商業施設を整備した場合の市民の暮らしやすさや来街者の回遊の変化を推測し示すことができる。 その意味で、位寄先生、溝上先生の発表内容は、専門的・学術的ではあるが、今後のまちづくりの計画立案に役に立つものであると思っていただけたなら、ありがたい。 他方、星野先生や田中先生の取り組みは、銀座通りの歩道の補修に際してタイル模様のデザインを提案したり、商店街における省エネの取り組みの意義を裏付けるデータを示すという点で、 具体的なまちづくり活動に直接関与するものである。
 まちなか工房は、平成18年の開設から丸8年が経過し、“臨床的”なまちなか研究の成果が蓄積されつつある。9年目の活動に入った今、研究成果を地域社会に還元すべく、 地域の方々との一層の関係強化に努めなければならないと感じた。
文責:前田(工房研究員 20130618)

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