活動

第74回学習会(平成24年3月22日)

家をゼロから考える:建築家・坂口恭平氏 

 「ゼロのライフスタイル」  

平成24年3月の「まちづくり学習会」は、建築家・坂口恭平氏の講演。テーマは、ゼロのライフスタイル。
氏の活動は、ゼロ円ハウスやゼロセンター(東日本大震災の被災者が新天地で生活再建するための支援の場)など、「ゼロ」が一つのキーワードになっているようだ。 単純に言うとお金をかけないということだが、「住む」とはどういうことかをつき詰め、そこから経済や社会を洞察する深いものが背景にある。
・・・いわゆるホームレスの路上ハウス。世間一般には、それは汚いものであり、不法なものであるという見方をしがちである。 坂口氏は、そのような路上生活者の調査を通して、その暮らしの中に「住む」ことに関する再考を促すメッセージを見出したようだ。 例えば、小さなソーラー発電パネルと12Vのバッテリー(普通車のバッテリーがそれ)をつないで蓄電し、照明器具(例えば、バイクのランプ)、パソコンもちゃんと使えるようになっているハウスもあるらしい。 ハウス自体も、建材はただだし、短時間で解体・組み立てができ移動できる点にも着目し、坂口氏は、それを「ゼロ円ハウス」というモバイル住宅に具現化している。
ひるがえって我々の暮らしは、なんでも100Vの家庭電源のコンセントから電気をとり、家を建てるのに多額のお金と何カ月かの工期を要する。 その家が被災すれば、ローンだけが残る 12Vのバッテリーの暮らし方と福島の原発事故を結んで考えた時、ライフスタイルや人間としての賢さについて、今日的な再考が必要であるとの説である。
もちろん、路上生活者の置かれた状況を忘れたり肯定したりする話ではないが、深く考えさせられた。 

文責:前田(工房研究員20120403)

<<第75回学習会              学習会報告TOP               第73回学習会>>