活動

第142回学習会(平成30年12月20日)

熊本版訪日エコツアーから見えたインバウンドの現状と課題
 ~オーストラリアの成熟したマーケットが望む日本らしいおもてなしとは~

話題提供:小林 寛子 氏 (東海大学経営学部観光ビジネス学科・教授))

 

 11月は三都市シンポジウムで定例学習会はお休みでしたので、10月から引き続き第 142回の定例学習会です。講師は、東海大学経営学部観光ビジネス学科教授でオーストラリア在住の小林寛子氏。テーマは、熊本版訪日エコツアーから見えたインバウンドの現状と課題。

1.ツアーの企画と実施(2018 年 8 月 25 日~9 月 7 日)報告
熊本地震からの復興支援の意味も含めて小林研究室がおよそ3年かけて企画。ツアー実施と募集は、オーストラリア・ウォーキング&ネイチャーツアー専門旅行会社。応募されたのは、2組の夫婦と4名の女性客合計8名の旅の熟練者。前泊(①)の日航ホテルから13泊14日のツアー商品を購入。まずは、カルデラと草地景観の阿蘇(以下はテーマと主な訪問地)。

テーマ 主な訪問地
すべての始まりの阿蘇山 阿蘇神社、門前町も巡り内牧温泉(阿蘇市)泊②→
阿蘇山の恵み 押戸石・鍋ヶ滝・黒川温泉(南小国町)泊③→
黒川温泉満喫 泊④→
雄大な山々に囲まれて感じる自然 牧ノ戸・長者原・男池・茶道体験・夕食はイタリアン・瀬の本スパグリネス(九重町)泊⑤→
肥後大野の昔の人の生活と意外な事実 摩崖仏・俚楽の郷・原尻の滝・長湯(竹田市)泊⑥→
阿蘇の水源とともに生きる 上色見熊野座神社・南阿蘇ビジターセンター・白川水源・グリーンピア南阿蘇(南阿蘇村)泊⑦→
神秘的な街の伝説と神々に触れる 高千穂峡・天岩戸神社・・高千穂泊⑧→
熊本地震と復興 東海大学阿蘇校舎・被災地ツアー・地獄温泉(南阿蘇村)⑨泊→※ハンズマン・ダイソー
明治時代の産業遺産と昔ながらの漁村 三角西港・イルカウォッチング・ホテル竜宮(上天草市)泊⑩→
普段の景色を観光地に(農業と観光のコラボレーション) 祝口観音の滝・教良木ダム周辺・集落・千厳山泊⑪→
新世界遺産「﨑津集落」の潜伏キリシタンの歴史 五足の靴・下田温泉(天草市)泊⑫→
文豪や剣豪も愛した地を歩く 草枕の道・神楽と和太鼓・ホテル日航泊⑬

2.参加者の評価
・体験や人との交流に高感度(茶道・紙すき・神楽体験、能面、田んぼアート、ウォーキング、草原の中での赤牛B.B.Q.)
・無名の祭りもアートとして鑑賞
・意外な評価:朝ピク+農家さんとの昼食、自然の中を歩くウォーキング、吉野のみかん山、ハンズマン
・記録的猛暑に辟易→秋とかに季節をずらしたほうがよいかも

3.インバウンド対応の要点
①来訪者のことをよく知ること
②旅マエ情報・旅ナカ情報のTPO
③多様な選択肢()
④Too muchはしんどい(旅館の夕食のワンパターン、環境や景観に関する重すぎる解説・・・求められたら詳しく、畳での食事や宿泊)
⑤泊食分離
⑤キャッシュレス・Wi-Fiへの対応
⑥エマージャンシー対応・・・ツアコンなどいない場合、ホテルのコンシェルジェがちゃんとしていればイイ

文責:冨士川一裕(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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