活動

第116回学習会(平成28年6月29日)

中心市街地の熊本地震からの復旧・復興についての座談会
話題提供:上通商栄会会長 河島 一夫 氏 下通り繁栄会会長 松永 和典 氏 まちなか工房代表 溝上章志 
     司会/冨士川一裕 工房特任教員

  今年度の学習会は熊本地震に関するシリーズで進めていく予定である。シリーズ第一回は商店街の現状と今後に向けた報告として、下通繁栄会より松永氏、上通商栄会より河島氏、まちなか工房より溝上教授、熊本市より永野氏にご登壇いただいた。今後の学習会については、東日本大震災後の事例などを計画している。

1.下通り・上通りの現状報告

(松永氏)下通りは現時点で、13店舗(約一割弱)が開いていない状況である。アーケード自体が壊れなかったことは幸いだったが、完全にダメになった建物は1棟、建て替えたほうが良い建物が4棟程度ある。アーケードと建物のジョイント部はやられて仮補修をしてしのいでいる。店舗については、地震直後の3日間はほぼ閉まっていたが、5月末ごろには概ね開業できている。生鮮食品のストックを休まず提供してもらえたのは良かった。

(河島氏)上通りでもアーケードとのジョイント部はやられてしまった。地震時にアーケードに逃げ込むという可能性については、頭上落下があるのでやはり何もないところに逃げるべきだと考える。上通りの建物は1棟解体予定、閉まっている大きな店舗は2店、外部チェーンは長く閉店(一か月程度)している。地元店舗は少々の痛みなら開けており、4月中には概ね開業した。
上通り、下通りの避難所は城東小学校であり、炊き出しなどが盛んだったと報じられた。白川公園は広域避難所だが、建物がないことと駐車場がないことがネックであった。

(溝上教授)中心市街地の被害状況と5月23日現在の営業休止店について、アーケードの横道で傷んでいる箇所が多く見られ、営業休止はサービス業12.6%、衣料品6.7%、寺社など20.0%が特徴的な数値で、物が軽い衣料品店の開業率が高いといえる。

(永野氏)比較的早く店舗が開いていたことが驚きであった。また、あらためてオープンスペースの重要性を感じ、オープンスペースとコミュニティが合わさって炊き出しなどが見られていた。非常時の人の動きを整理しておくことは重要である。コンビニの流通と開業率は高かった。

2 .今後の動きについて(会場とのオープンな議論)

下通りでは下通再生委員会を立ち上げており、通常理事会の前半を再生委員会にして共同建て替えをサポート事務局で支援するといった体制を取っている。こういう取り組みは中央繁栄会でやると効果的だと思われる。上通りでも6/30に会合を持って、グループ補助金を進めていく予定。元々国の補助金は私有財産には補助しないものであるが、地域活性化に資すれば、補助対象にするということ。そこで、グループを作って補助をする。元のものに復旧したときの75%を補助するものであり、共同化しても業態転換しても良い。グループは大きいほうがい良く、1件最大15億円、予算総額400億円である。

このような議論が会場を含めて行われた今回の学習会では、被災から立ち上がって新たな熊本の商店街を創造しようとする動きを感じることができた。傷んだ建物を共同化して強い建物へと集約する一方で、防災や普段の居心地も向上するオープンスペースの価値と責任は地震を経験してより考えねばならない大切な視点であり、商店街・行政・大学が一同に会する工房の役割である。

文責:増山晃太(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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