活動

第95回学習会(平成26年3月24日)

熊本駅周辺の都市空間デザイン ~これまでの取組みとこれからのまちづくりへ~
話題提供:田中 智之 氏 (熊本大学大学院自然科学研究科 准教授)
     星野 裕司 氏 (熊本大学大学院自然科学研究科 准教授)

「ひとの目線で捉えるまとまった空間」

 

良質で優れた都市景観を表彰する2013年度都市景観大賞の都市空間部門で、熊本駅周辺の都市空間デザインが最高賞である大賞(国土交通大臣賞)に選ばれた。
3月のまちづくり学習会は、これまで都市空間デザイン会議やワーキングのメンバーとして事業に関わってきた熊本大学工学部の田中智之准教授、星野裕司准教授から、熊本駅周辺空間デザインの考え方や今後のまちづくりのあり方についての講話があった。
 従来、都市計画は「軸」と「ゾーン」で考えられてきた。その典型が都市計画図で、そこには都市計画道路(「軸」)と用途地域(「ゾーン」)が目立つ線と色で描かれている。都市計画マスタープランの類の計画書にも、「交流軸」とか「商業ゾーン」というように色塗りされたマップがつきものだ。もう少し小さなエリアの開発でも、やっぱり「軸」と「ゾーン」が出てくる。それは、完成予想図が最初に示されて、そこに至るように事業を進めていくという考え方によっている。

熊本駅周辺では、「軸」と「ゾーン」によらない都市づくりの発想があった。ひとの目線で捉えることのできるひとまとまりの空間-風景のまとまりを「景」と呼び、「景」によってまちの骨格をつくるという考え方の採用である。「出会いの景」「木立の景」「水辺の景」の3つの景で骨格だけを設定して、あとは柔軟につくりこんで行こうという方法だ。整備途中段階にある熊本駅周辺の都市デザインが大賞に選ばれたのは、「景」という新しい考え方と、それに基づく今後のまちづくりの展開に期待が込められているからに違いない。皆さん、(新幹線に乗る用はなくても)熊本駅に足を運んでみてください。在来線の駅舎の巨大な木造建築物が姿を見せ始めたし、「木立の景」を感じる街路樹も芽吹いてきて、今後の「駅周」が楽しみになってくるはずです。

文責:前田(工房研究員20140324)

【参照リンク】

学習会チラシ(PDF)

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