活動

第134回学習会(平成30年2月15日)

城下町・新町古町地区の復興まちづくりは今
話題提供:冨士川 一裕 氏 (NPO法人熊本まちなみトラスト事務局長)

 

 2月の学習会は1月の「熊本城の被害と復旧への取り組み」に続き「城下町・新町古町地区の復興まちづくり」についてNPO法人熊本まちなみトラスト事務局長の冨士川一裕氏より報告していただきました。同地区については地震から5ヵ月後の2016年9月の学習会で「殿 街が…」というタイトルで熊本地震直後の状況を報告してもらっています。震災からまもなく2年が経とうとするなかで、同地区の“復興の今”を伝えてもらいました。

1.熊本まちなみトラストの取り組み
 熊本まちなみトラストでは震災直後の2016年4月20日に例会を開き、歴史的建造物の地震被害の確認を始めました。その後、5月14日には西村邸オーナー相談会、6月26日には復興事務所のスタート、9月22日には文化財ドクター調査報告、11月1日にはワールド・モニュメント財団へのプレゼン、11月12日には被災文化遺産所有者等連絡協議会設立総会、2017年2月27日にはワールド・モニュメント財団への支援申請を行い、震災後激動の一年が過ぎていきました。ワールド・モニュメント財団とは2017年8月3日にパートナーシップ契約の伝達式を行い、新町古町地区の復興まちづくりが新たな段階に入ります。最近の取り組みとして、2018年1月27日に開催した復興イベント「おでんを食べて語り継ぐon明八橋」の紹介があり、これまでになかった新町と古町の関わりが生まれているようでした。

2.新町古町地区のエリアマネジメント
 新町古町地区に重点3エリアを設定し商業計画の立案を行いました。そのなかで同地区の強みとして、“城下町文化の継承と暮らしの創造”があげられていました。また、被災文化財所有者連絡協議会を立ち上げ、町屋オーナーの横のつながりを生みだしているという報告もありました。震災によって被害のあった町屋が公費解体された跡地の利用については、まだ手が回っていない状況で今後の課題でもあるようです。エリアマネジメントの区域のなかでは、早川倉庫が始めた民泊も入っており、インバウンド向けの民泊が同地区の特徴になりつつあるようです。また、既存の民泊では朝食・夕食のサービスはないものの、近所の病院のモーニングサービスを紹介し、まちぐるみで観光客への対応がとられている事例の紹介もありました。会場からの質疑では、同地区の将来像として、「観光だけでいいのか」という問いも出されていましたが、“城下町文化の継承と暮らしの創造”というコンセプト活かした、居住空間の整備も重要な位置づけだと感じました。

3.ワンコイン懇親会
 ワンコイン懇親会では、はじめて学習会に参加された方もおり、新たなネットワークの広がりも感じられました。復興3年目に向け、まちなか工房も協力していきたいと思います。

文責:増山晃太(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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