活動

第119回学習会(平成28年11月24日)

熊本都市圏交通マスタープランについて
話題提供:荒木宣博 氏( 熊本県土木部道路都市局計画課 参事 )
     杉村洋輔 氏( 熊本市都建設局政策部課 技術参事 )

 

 若手、と言っては失礼だがフレッシュな行政マンからの報告であった。
平成28年3月に策定された「熊本都市圏 都市交通マスタープラン」について。策定主体は熊本都市圏総合交通計画協議会であり、同協議会会長は当まちなか工房代表の溝上教授である。
 前回2000年策定の計画が、拡大する交通需要への言わば量的な対応策であったのに対して、今回の2015年計画は、公共交通をはじめとする多様なモードのベストミックスという「質の充実」を目指しているところが特徴である。計画の対象は、熊本市を中心とする5市6町1村、人口約104万人であり、概ね20年後の平成47年(2035年)を目標年次としている。
 1973(第1回)、1984、1997年に続き2012年に行われたパーソントリップ調査によると、熊本市と周辺市町村との間の放射方向に交通が集中しており、特に大型商業施設が立地した菊陽町や嘉島町との間のトリップは、第1回調査の1973年からそれぞれ1.54倍、2.03倍となっている。また、高齢者交通は、前回調査に比べ2.46倍に増加し、高齢者の自動車事故も増加している。
 計画では、周辺部に「乗換拠点」を整備し、中心市街地と乗換拠点間の幹線区間を軌道交通や幹線バスを運行し、乗換拠点から郊外部の間の支線区間を支線バスやコミュニティ交通を運行させることで、定時制・速達性・輸送力の向上を図り、郊外部の末端まで交通ネットワークを充実させる、という施策が提案されている。道路体系としては、多核連携型市街地(中心市街地と15の地域拠点/立地適正化計画)を前提とした2環状11放射の交通体系とし、外環状である熊本西環状道路、国道3号植木バイパス等の整備促進が課題としてあげられている。
 乗換の際の料金体系?、交通センターと熊本駅の2つのターミナルの役割分担?、乗換ターミナルは公共が整備するのか?等、活発な質問が出された。後半の「立地適正化計画」に対しては、集落内開発への疑問、震災後の建替えに対応した居住誘導策等への質問があった。

文責:冨士川一裕(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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