活動

第65回学習会(平成23年2月25日)

洋館付加住宅の住まい方:大分大学 鈴木義弘准教授

 「洋館付加住宅」が消えかかっている

   2月の「まちづくり学習会」は、大分大学鈴木義弘准教授による「洋館付加住宅」のお話。
 洋館付加住宅とは、伝統的日本家屋の玄関脇(が典型プラン)に4畳~8畳程度の洋館を、文字通り付加した住宅のこと。 取ってつけたように、洋館部分だけファサードも屋根も室内の設えも日本家屋とは異質。 愛知万博の際にトトロのメイちゃんの家があったが、あんな感じの建物。大正期から戦前に結構流行ったらしく、全国各地にあるが、ちょうど今、老朽化で姿を消しつつある。 これっていったい日本の住宅建築史にあって、どんな存在なの?という話で盛り上がった。
 個人的には、こう考えた。・・・明治期の洋館(開智学校のような疑似洋館も含め)は外国。財閥の豪邸のある敷地内に建っていても、 洋館は、隔絶した外国そのもの。次に大正期になり、ちょっと内部に取り込もうとしたが扱いが分からず、とりあえず玄関脇まで近付けてみました、 小ぶりな外国を、って感じになった。犬を室内飼いするわけにはいかず、かといって庭に放すわけにもいかず、とりあえず玄関先につなぐことにしたという感じ。 戦後、洋館付加住宅は作られなくなったらしい。で、遅くとも昭和40年代には、九州の田舎の方でも、洋間をもつ家が流行った。 玄関近くに、床も壁も板張りで、ソファーとサイドボードとピアノを置く一室を配するプラン。おしゃれで都会的な家の典型だった。
 かつての洋館(外国)は、洋館付加の時期を経て、日本住宅内部に洋間として取り込まれ同化した。ミトコンドリアが細胞のなかに取り込まれたように・・・。 これを外国人が見たら、HOW COOL !と思うだろうか、それとも困惑するだろうか?

文責:前田(工房研究員20110225) 


<<第66回学習会              学習会報告TOP               第64回学習会>>