1章  緒言  

最初になぜこのようなものを考案したかと言うと、かなり趣味の領域に入るが、私はパラグライダーという一種のスカイスポーツを大学に入ってから始めました、このスポーツには普段では意識しないいろいろ学ぶ事がたくさんありました。スカイスポーツとあまり縁のない人達からはただ単純に飛んでるようにおもわれがちですけど、実際には実践以外に気象学(天気、風向き、強さ)や流体力学(翼面荷重、グライダーの揚力発生の原理、風の集束)などの知識が必要となります。その中でなぜ熱上昇気流計測装置を考えてみたかというと、熱上昇風(以下サーマルとも称する)というのは、日中太陽によって温められた地表の空気が周囲の空気との間で温度差が生じ温かい空気だけが地表を離れ空へと登っていく空域をいいます、動力のないグライダーではタカや鷲のように羽をはばたかせずそのサーマルの中でクルクル回ることによって熱上昇風に乗り高度を上げます。スカイスポーツではこのサーマルを使って飛び出した位置よりも高く高度を得ることができ、稼いだ高度を使って遠くに飛んでいくことが出来、また飛んで行った先の熱上昇気流ををつかんで高度を稼ぎ、さらに遠くへ飛んで行ったりして、フライトを楽しむことができます。しかしこのサーマルというのは、無色透明の空気のため、もちろん目でみることなんてできません、サーマルをつかって飛ぶためには上昇感覚を養うための、それなりの経験と技術が要されます、そこでこの上昇風を視覚で捕らえることを目的とした装置があれば、練習に時間をかけずにサーマルを早く掴むことができるようになり、飛びはじめの人でも簡単に熱上昇気流地帯をただようことができ何時間でも飛び続けることが可能になるでしょう。またこの装置を応用して山奥で発生する非常に激しい夕立などの熱上昇気流を逸早く察知して、雲が出来あがる前に川の下流域に注意を呼びかける事で、鉄砲水による夏の水難事故を防ぐなどの応用も利くでしょう。




         
     





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