活動

第82回学習会(平成24年12月20日)

中心市街地の不動産の動向:熊本県不動産鑑定士協会長 麻生田栄壽氏、㈱城東マネジメント取締役 南良輔氏

「街への扉」 

例えば、進学・就職で新しい街で生活を始める、会社を興す、商売を始める。それに伴ってアパートや貸しビルを探すとき、ほとんどの場合、 まず街の不動産屋を訪ねることになる。このとき、不動産業者は当然できるだけ貸そうとする。その建物にどのような人を入れるべきか、 街全体を総合的に演出するにはどんなテナントがよいかなどとは考えない・・・こともないだろうが、オーナーの意向もあり、思い通りにはできない。 街全体の物件を全て一つの業者が扱っているわけでもない。私たちにとって「街への扉」は不動産業者の数だけたくさんあるが、 それ以外の扉はあまり知らない。
スタバが欲しい、と街の若者は言う。そしていつの間にかスタバができ、街がちょっとオシャレになった感じになる。でも、誰がスタバを呼んできたのか誰も知らない。 おそらく誰も呼びに行ってはいない。向こうから勝手に来てくれるのだ。
かつて商売人であり街の住民だったオーナーが貸しビル業に転じ、今は年金暮らしになり街には興味がない、となればいったい誰が街を創るのか? ソフト・ハード両面の都市経営家だった戦国時代の武将は、きちんと町割をして職人町や市を創った。熊本にも当時の名残の町名がある。 では今、行政や商店街組合に何ができるだろう。何をすべきだろう。
12月の学習会は、熊本県不動産鑑定士協会長の麻生田栄壽氏と㈱城東マネジメント取締役の南良輔氏(南酒店主)の講話。 麻生田氏によれば、熊本市では貸しビルの家賃も地価も仙台市並みに高いらしい。需要が旺盛だからではなく、空き室があってもオーナーが賃料を下げたがらないという事情もあるようだ。 街の活性化のためには、賃料がもう少し下がった方がよい。そんな熊本市の中心市街地にあって、南氏の㈱城東マネジメントでは、 将来のテナント候補を創り出すためにまず市を開き、そこに出店する中で力をつけた人を見出し、その人のニーズに合わせて空き室を改装していく方式の空きビルリノベーション事業に着手するそうだ。 新しい「街への扉」として注目したい。
文責:前田(工房研究員20121221)  

 

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