活動

第140回学習会(平成30年9月27日)

新町コーポニュータウン再生の取り組みについて
話題提供:江口 泰史 氏(不動産鑑定士 不動産鑑定士 株式会社 Addit)

 今月の学習会のテーマは『リノベーション』。単なる改修との違いは新しい価値を創出することにある、と言われている。どんな価値を創出しようとしているのか、現場は、新町、長崎次郎書店の北隣にある築後50年の10階建てマンションだ。このマンションが建ったのが50年前だとすると、築年の昭和43(1968)年という年は都市計画法が制定された年であり、現行法の基準を越える容積率(床面積)や2階事務所階の過大な柱や梁に時代錯誤の感があるのも現代の法律や基準の適用をまだ受けていない時代の産物であることの証ともいえる。こういう場所を「ビンテージもの」と言って星2つとか3つとか出したがる若者たちがいる。そのような若者と共通した感性を持ちながら十分なスキルを持ってこのプロジェクトを進める5人のクリエーターにお話をうかがった。まずは不動産鑑定士の江口さんから。

1.ゲストハウスとコワーキングスペース
   電車通から見るとマンション1階は南側1/3が喫茶店、中央1/3が上下の駐車場に上り下りするスロープ、北側1/3が上階住宅へのエントランスとなっている。リノベーションで中央のスロープを上った1階約70坪の駐車場跡をコワーキングスペース(共同個人事務所)に、その上の2階事務所跡110坪をゲストハウス(宿泊施設)に再生する計画である。
 仮称PINBALL KUMAMOTO/HOTELと呼ぶ2階のゲストハウスは、個室14室、ドミトリー(2段ベッドの大部屋)2室の総ベッド数67の装備で、多様な宿泊者グループに対応しようとしている。フロントは1階のコワーキングスペースにあるが、1階のその場所は、観光客・仕事客・地域の人が行きかう自由な広場でありたいとのこと。
2.若者文化の発信地という熊本市中心市街地の伝統の中での位置づけ
   マンション管理組合理事長の坂ノ上さん、インテリアデザインを担当する中川さん、アートデザインのかつあきさん、まちづくり都市計画の河野さんからもお話を聞くにつれ以下のような新しい価値を読み取ることができた。
シャワー通→上通並木坂→上乃裏→河原町と続く若者文化の発信地と比べ多世代を受け入れるコミュニティ指向が見られる。
たとえば、ハングル文字や中国文字のフォントにもこだわるグローバルなカッコヨサを狙うハイスペックなテイスト。
大企業にはまねのできないスモールビジネスの持つ柔軟性のある事業マインド(これは先進地区と共通)・・・

 11月着工の予定だということだが、来年春の開業が待たれる。
 

ワンコイン・ワイン交流会

文責:冨士川 一裕(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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