活動

第122回学習会(平成29年03月02日)

熊本地震と「まち」の復興
話題提供:松永 信弘 氏(熊本県土木部道路都市局局長)

 

 今回の学習会は熊本県土木部道路都市局局長の松永信弘氏にお越しいただき、『熊本地震と「まち」の復興』と題して、県内の震災被害の状況と宅地被害の対応の報告とともに、益城町の復興について復興計画案などの説明をしていただきました。

1.震災被害の状況と宅地被害の対応
熊本地震は、震度 7が立て続けに 2回発生(観測史上初)、一連の地震で震度 6弱以上の地震が7 回発生(観測史上初)、地震の発生回数が 4,192 回(12 月 16 日現在)と多くの地震が発生したことが特徴でした。地震の規模は、県全体に与える影響を見ても、すでに阪神・淡路大震災級であるといえるようです。仮設住宅では、合計 4,303戸のうち木造が 683戸と 15.9%の木造率とな っており、被災者の仮設住居環境を少しでも改善する配慮がされているようでした。また、熊本地震では住居そのもの被害に加えて、宅地被害の深刻さが明らかになっており、それらの支援事業の説明などがされました。

2.益城町の復興
県内でも最も被害の大きかった場所の一つである益城町については、全壊・半壊が 6,976 戸と60.5%の被災率でした。一方、なかでも比較的被害の少ないエリアを調査すると、元々の地盤が軟弱で、地盤改良や基礎を強固にして建てられていたため、地震による被害を抑えられたという報告がありました。今後の復興を目指すうえでは、活断層の場所は重要であり、益城町では 3 つの断層が確認されていて、これらを避ける形での復興計画が必要となります。復興計画の方針としては防災機能の向上を前提に、「1.町外への人口流出の抑制」「2.利便性の改善によるポテンシ ャルの向上」「創造的復興の祈念(記念)事業としての取り組み」が挙げられており、喫緊の課題は流出した人口をいかに戻していくか、いかに定住してもらうかという点について、長期ビジョンのもとに実現していくことのように思います。最後に震災対応の教訓として、「1.平時からの復興対応準備」「2.迅速な方針決定と計画策定」「3.人材育成と人脈形成」とまとめられていました。

3.会場との質疑応答
会場からはとくに注目のある益城町復興について多くの意見が出されました。沿道整備時事業によるハード整備に対して営業する担い手は?中心部でない離散型集落地域の計画は?高森線と公共交通の構想は?益城町の将来ビジョンは?といった質問が出され、やはり人材の確保や人々が住みたくなる、働きたくなる益城の復興が求められているのだと感じられました。

文責:増山 晃太(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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