活動

第120回学習会(平成28年12月22日)

完全自動運転システムが開く近未来の生活と社会
話題提供:溝上 章志(まちなか工房 代表)

 まちなか工房12月の定例学習会は、工房代表で交通工学が専門の溝上教授に「完全自動運転システムが開く近未来の生活と社会」というテーマでお話いただいた。
2040 年頃には加速・操舵・制動の全てを自動車が行い(レベル4)、ドライバーが運転に全く関与しない完全自動走行システムが実用化されるという予測だ。すべての車両の位置を把握し制御できれば、まず、交通渋滞は解消されるだろうし、交通事故を限りなくゼロに近づけることができる。交通の動きに無駄がなくなるので社会全体での燃費がよくなりCO2の排出も削減される。新幹線は、もうすでに自動運転に近いのだが、クルマができるのであれば市電やバスもわけなくできそうだ。大勢が束になって動く区間は、大量輸送できる市電やバスのほうが合理的であり、乗り合いの楽しさもある。市電やバスを降りたところに自動運転のクルマが待っていてくれれば、停留所から遠いところからでもお出かけが楽チンだ。・・・ちょっと待てよ、これって「カーシェアリング」の世界だよね。
 そこで、ご出席のなかに3年前から「カーシェアリング」を使っておられるHさんに話を聞いてみた。「家の近くのコインパーキングにはカーシェアリング用のクルマが2車種留めてあって、10分前に予約すればいつでも使える。月1000円の会費と使った分だけの使用料を払えばOK。月に1度くらい仕事で福岡まで行き、あとは買い物などで使う程度だが、使用料は月1万5千円から多くても2万円弱とのこと。これにはガソリン代や保険料などすべてが含まれる。」Hさんは上通並木坂にお住まいだ。しかし、中心部から遠いコインパーキングがないようなところでは、このようなサービスを受けることはムリだ。でも待てよ、自動運転が実現したら、コインパーキングのあるところ(地域拠点)から自宅の前まで無人運転のクルマを呼ぶことができる。・・・
 それって有人・無人の違いはあるが、タクシーに近いサービスではないか。そうか、完全自動運転の社会に近い状態を現時点でつくり出そうとしたら、自家用車の保有を禁止してタクシーと市電とバスのみで人を運ぶようにすればいいんだ。そうすれば駐車場も不要だ。

※学習会終了後のワンコイン懇親会は好評のうちに続いています

文責:冨士川一裕(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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