活動

第108回学習会(平成27年07月28日)

ミズベリング白川74の取り組みについて
話題提供:牟田 弘幸 氏(国土交通省 熊本河川国道事務所 調査第一課長)

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 第108回の学習会は、今年の4月25日に竣工式を迎えた、白川・緑の区間にて開催した「ミズベリング白川 74」の取り組みについて、国土交通省 熊本河川国道事務所 調査第一課長の牟田弘幸氏に講演して頂いた 。
 ミズベリング(MIZBERING)とは、「水辺+RING(輪)」、「水辺+R(リノベーション)+ING(進行形)」の造語で、かつての賑わいを失ってしまった日本の水辺の新しい活用の可能性を創造していくプロジェクトとして、全国で平成26年度から取り組まれている。「ミズベリング白川74」は、九州の一級河川で初めてとなるミズベリングの取り組みとして白川の緑の区間において4月、5月で社会実験として実施された。オープンカフェ、マルシェ、Eボート体験、演奏会等を実施し、また参加したいという声が大多数だったようである。
1.河川行政の変化の流れ
 ミズベリングの動きが活発になるまでには、河川行政の変化が大きく寄与しており、「河川敷地占用許可準則の緩和」が重要であった。平成11年8月の改正時点では、「占用施設」として認められているのは、公園、運動場、橋梁など公共性のある施設に限られ、「占用主体」は地方公共団体など公的主体と定められていた。平成16年3月の特例措置を経て、平成23年3月の改正によって、イベント施設に関わる飲食店やオープンカフェ、日よけなども「占用施設」に認められ、民間事業者が「占用主体」となることが認められたことで、河川利用の幅が大きく変わることとなった。
2.行政・市民の意識の変化へ
 法律の改正とともに、行政・市民の意識変化も重要であり、ミズベリングの理念として、「『つくる』だけでなく『育てる』という視点」を掲げ、行政・市民が川る(かわる)こと、川える(かえる)こと、そして民間のノウハウを導入することが大事であると述べていた。また、牟田氏は白川に対する熊本市民の関心の希薄化を憂いており、川に無関心であることは、モラルや防災意識の低下にもつながるため、あらためて行政と市民がタッグを組んで、白川と市民が近い存在になることが重要だと述べていた。
3.「ミズベリング白川 74」の開催
 実際にミズベリングを開催するまでには、多くの声かけと関係者との調整を行っており、オープンカフェ25店舗以上、水辺の演奏会20団体以上、その他30回以上(JR熊本駅、メルパルク熊本等)に対して職員自ら民間事業者等を訪問し、開催趣旨の説明や参加依頼を行い、賛同者を募ったようである。会場からは、緑の区間のおすすめルートについて、右岸の樹木のあり方、実行委員として何をやられたのか、左岸も中活の範囲であることなどの質問があった。

文責:増山晃太(工房研究員)

【参照リンク】
学習会チラシ(PDF)

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